今日からできる「入ってきやすい」文章のファイブルール

手前味噌ながらよく文章が「入ってきやすい」といっていただくことが多いです。

専業で書く仕事をしてきたことも大きいとは思います。けれど実は、大きく意識していることはたった1つだけ。それは、

「読みやすく」以上に「見やすく」

文章は読解するよりも先に、“目に入りやすいか否か”で読む・読まないを判断されてしまいます。

ですから、内容の充実度や専門性はもちろんなのですが、目にやさしいケアが第一です。

コピーライティングの講師として活動している僕が、即効性バツグンの「入ってきやすい」文章術を直伝します。

ポイントは、これから紹介する5つ!

目次

文章を「白く」せよ

見やすい文章にすることは読み手への「思いやり」。親切を尽くした文章には心が宿り、信頼感へと変わります。

僕が特に意識しているのが、文章の「ひらがな率」を高めることです。

ひらがなを増やすと字面の詰まりが“ほどけて”見えることから、文章を「白く」するといいます。

例を並べましょう。

  • 為→ため
  • 事→こと
  • 出来る→できる
  • 随分→ずいぶん
  • 優しい→やさしい

どうでしょう? 左右を比較するとより、ひらがなのやわらかさを感じるのでは?

この辺りのポイントを意識するだけで、ずいぶん文章が視覚的にやさしいものになりますよ。

また、誰に向けて書く文章なのか? によっても文中のひらがな率は変わります。

女性向けの文章なら、やわらかい印象を出したいのでひらがなを多めに。活字を読み慣れているシニア世代には、逆に漢字比率を増やす、といったように。

ケースバイケースでひらがなにする語句の例

  • 言う→いう
  • 分かる→わかる
  • 今→いま
  • 方→ほう
  • 作る→つくる

なお、表記統一の仕方について本格的に学びたければ、プロの記者・編集者が使っている「記者ハンドブック」というものを参照してみるといいです。

この記者ハンドブックに準じた表記ルールを守れば、まず間違いなく見やすい文章になります。

僕自身、若い頃に編集者をしていたので通称“記者ハン”のルールが染み付いています(^ ^)

一文を短くせよ

“誰に向けて書く文章なのか? によっても文中のひらがな率は変わるわけですが、女性向けの文章なら、やわらかい印象を出したいのでひらがなを多めにして、活字を読み慣れているシニア世代には、逆に漢字比率を増やす、といったようにするといいでしょう”

なっっっが…!

と、きっと思いましたよね?(笑)

一文は短く、テンポよく。

長い一文は次第に読む気が失せます。一方、短い文章を連ねることで「続きが気になる感」を演出できます。

これはアメリカの歴史的コピーライター、ジョセフ・シュガーマンも自身の文章哲学として語っていることです。

目安として、こんな言葉を覚えておくといいでしょう。

一文一意

文字通り、一文の意味はひとつに留めるというものです。「ワンメッセージ」とシンプルに覚えておくのもよし。

一文が長くなりがちな人は、書いた文章を時間を置いて見直してみてください。

フレッシュな目で見返すと、「ここが長い」というポイントを発見しやすいですから。

正しく係り受けせよ

学生時代に国語で習ったであろう、「係り受け」です。代表的なのは、

  • なぜなら〜だから
  • ◯◯したり、◻︎◻︎したり(※短くするためにあえて受けないこともあります)

また、主語と述語を正しく受ける係り受けも。これは結構、雑になりがちな点です。

私の仕事は文章を書きます
→私の仕事は文章を書くことです

修飾語と被修飾語を近くに置く、という係り受けもあります。

きれいな赤いワンピースを着た女性だ
→赤いワンピースを着たきれいな女性だ

置かれる位置によって「きれい」が係るポイントが変わりますよね。

係り受けの誤りが及ぼすのは、ほんの少しの違和感かもしれません。

しかしそれも「塵も積もれば山となる」で、違和感が積み重なるほど、見にくい文章となります。

逆に日頃から意識して正しい係り受けをしていれば、まず誤ることはありません。

ちゃんとできているか、自己添削をするようにしてみてください。

間違いなく洗練された文章に変わります。

専門用語を排除せよ

ライティングの世界では、ノウハウ以前の心構えとして「小学生でもわかる言葉で書け」といわれます。

これはつまり、読み手が自分の話をわかっていると思うな、ということです。

最たる例が、専門用語の扱い。

会話のうえではさも「わかってるでしょ?」というていで専門用語を使われても、聞き返せば意味はわかります。

しかし、文章ではそうはいきません。

知らない言葉が頻出すれば、「よくわかんない」とフェードアウトされてしまいます。

ですから、意図する場合(※)以外は専門用語を排除して、わかりやすい言葉やたとえ話に置き換えることをオススメします。

※技術やメカニズムなどは、あえて専門用語を並べながら詳しく掘り下げることで「プロっぽさ」を出すケースもあります。

とはいえ、読み手の対象が専門家だからといって、いたずらに専門用語を連発する必要はありません。

なぜなら、専門家だろうが誰だろうが「頭を使いたって文章を読みたくない」からです。

プロっぽさの演出はかなりの高等技術。先にも書きましたが、見やすい文章に整えることは読み手への思いやりです。

専門用語は使わないようにするほうが無難ですね。

大事なことは3回以上伝えよ

しつこく繰り返しますが、文章を見やすくすることは読み手への思いやりです。

ハイ、これで3回目。

何が3回目なのかというと、僕がこの記事を通してもっとも伝えたい「思いやり」というメッセージの登場回数です。

今のは少々強引ですが(笑)。

しかし、これくらいしつこくいわないと、大事なことって伝わらないんですよね。

なぜなら現代人は文章に向かうとき、

冒頭で要旨をつかんだら、
さっさと文末の結論を読み、
面白そうと判断したら真ん中の本文を読む

という、ある種奇怪な読み方をするから。

上から下へ順番に、ではなく、目がキョロキョロキョロキョロと動き回っているわけです。

Webの表現に負けた凄腕のコピーライターともなると、画面をスクロールするごとに伝えたいメッセージが形を変えて現れるといいます。

そういう意味では、3回の繰り返しでも足りないくらいかもしれません。

一見しつこいようですが、全体を見ずとも部分部分で要点がわかるという点で、とても親切な仕事ですよね。

文章術のメジャーな法則であるPREP法(結論から先に伝える書き方)などを忠実に守れば、おおむね大事なことは複数回にわたって伝えることになります。

我流を貫くのではなく、連綿と受け継がれてきた「型」を意識して使ってみてください。

武道と同じです。一度型が身につけば、勝ち筋の見極め方が自然と体に浸透します。

まとめ

「ただただ書きたいことを書いても伝わらない」

よくいわれることです。そしてこれは内容のことだけでなく、今回ご紹介した表現的な部分にも通じます。

すなわち、読み手への配慮が十分かどうか? ということ。

映画を思い浮かべてみてください。

2時間の物語を飽きさせることなく、なおかつドラマティックに魅せるために、舞台裏では無数の仕事人が関わっていますよね。

あなたの書くものはまさに、あなたがつくり出す舞台です。

そう思えば、決して仕事に手を抜けないはずです!

入ってきやすい文章のファイブルール

  • ひらがな率を高めて文章を「白く」する
  • 一文一意。文章を短くする
  • 係り受けを正しく。見直しのポイントです
  • 専門用語はわかりやすい言葉にいい換える
  • 大事なことは3回以上伝える

いずれも即効性バツグンのポイントばかりです。

「読みやすく」以上に「見やすく」

今すぐ、活用してみてください!

最後までお読みいただき、ありがとうございました。

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