ご覧いただきありがとうございます。マーケティングコンサルタントの大鹿です。
起業してから失敗の1つや2つ、誰しも経験していると思います。
たとえば会社員なら会社のために「いかに失敗しないか?」を考えますが、起業家の失敗はそのような失敗とは意味が違います。
よほど致命的な傷でない限り、失敗は成功するためのデータだと、成功している起業家はみな気持ちいいくらいポジティブに考えています。
そして話を聞いてみると、「上手くいく事業なんて10あれば1つがいいところ」と、あっけらかんとしていうのです。
これを初めて聞いたとき「この人でもそうなんだ」と変な話ほっとしましたし、トライ&エラーを前提とした圧倒的なスピード感に驚いたものです。
今回は起業家が失敗をどう捉えどう事業に生かすべきなのか、僕がメンターから教わってきたマインドセットをお伝えしたいと思います。
一度でうまくいく方が稀
失敗は誰しも嫌なものです。できればしたくない。けれど、大事なのは失敗したその後。
次また上手くいかないことを恐れて前に進めないと、仕事を作ることが仕事である起業家にとって致命的です。
なぜなら僕らのような個人の力が弱い起業家にとって、今ある仕事がいつなくなるかなんて分からないものです。いつ、強力なライバルが現れて活動の場を奪っていってもおかしくありません。
つまり現状維持は即、衰退につながります。
僕も大きな痛手こそありませんが、コンテンツやセミナーを考えても最初から“当たる”のは文字通り10に1つくらいの割合です。
そういうときはどこがダメか聞くことができれば人に聞きますし、とりあえず置いておいて改善点の収集をしながら、次の企画を進めるようにしています。とにかく、一度上手くいかなかったからといって打ち止めということにはしません。
そもそも、人に商品・サービスを買ってもらうのは本当に難しいことです。これだけものも情報もあふれていますから、選ばれる努力こそしますが、最初から選ばれることはまずないと考えた方が気が楽です。
どれだけ綿密に計画しても、市場に出してみないと人がどう反応するかなんて分かりませんから。
万事、一度でうまくいくことの方が稀です。
失敗しないためのハウツーがそんなに重要?
失敗を過度に恐れる人ほど、自分の頭の中やリソースをハウツーで満たしてから行動しようとします。もっとも、上を見ればキリがないしハウツーを探し出せば際限がないので、いつまで経っても行動しないのですが。
そうこうしているうちに、目的が自分のビジネスを軌道に乗せることから「いかにハウツーを収集するか」にすり替わっている人が本当に多いです。
失敗しないためのハウツーが、それほど重要でしょうか? 大金を失ったり命が危ぶまれるならいざしらず、個人の起業家にとって致命的な痛手を被ることはそうそうないと思います。
また、失敗からしか学べないことも本当に多いです。
以前のことです。FAX DMという手法(FAXで企業にダイレクトメールを送ること)でセミナーの案内を流したところ、反応があったのはわずか。
驚いたのは、ダイレクトメールには「今後このようなFAXが不要であればご返信ください」と記載しておくのがマナーなのですが、不要の旨を示すFAXが何通も届いたことです。
少し意味が分かりづらいかもしれませんが、「FAXなんて見ない」という通説があるところ、要らないにしろなんにしろFAXが返ってきたということは…
少なくともちゃんと内容を見て、必要か不要か判断していたということです。たとえばその内容のFAXはダメだったけれど、まったく別の趣旨で送れば反応があるかもしれないということが分かったわけです。
こんなこと、どれだけハウツーを吸収して机上の空論を掲げても実際にやってみなければ分かりません。
他人から得た知識ではなく、トライ&エラーの成果こそが本当のノウハウになっていきます。失敗を重ねているほど豊富な事例・データを持っていると、考えてみませんか?
成功している人は失敗の基準が違う
成功している人は失敗を「やめる材料」には決して使いません。
むしろ失敗を成功させるためのデータと考えますし、データが取れないのならもう一度でも何度でも試してデータに変えようとします。
なぜ失敗するのかが分かったら決断一発で打ち止めにするし、上手くいっている途上であることが分かったら上手くいくまでやろうとする。
つまり、失敗を失敗と考える基準値がまるで普通の感覚とは異なるのです。
いや、異なるというと少し誤解があるかもしれません。あくまでも上手くいくかいかないか? という点にしかフォーカスしていないということです。
「失敗するのが嫌だ」という感情で、事業を判断していないということですね。
僕のメンターの場合、失敗を「楽しんでさえいる」といいます。「どうやったら上手くいくか」を考えることが腕の見せ所、といわんばかりに。
失敗して打ちのめされることはあっても、それで行動を止めてしまうようなら今やっていることが本当にやりたいことではないのかもしれません。
上手くいかないからといって「少し時間を取ってじっくり考えたい」という人がいますが、単に逃げているだけだったりします。しかし、ビジネスは自分をのんびり待ってはくれません。
失敗するたびに心を癒す時間が必要になっては、変化の早いビジネスの世界についていけないのです。
失敗をどう捉えるかは「本当にやりたいことができているか」によって変わると思います。できているのだとしたら、失敗1つで一喜一憂することはなくなるはずです。
少し厳しい言葉かもしれませんが、失敗に立ち直れないほどのダメージを感じるようなら、まず自分のあり方について見つめ直した方がいいでしょう。
「成功するまではすべてがテスト」
失敗の基準について、もう1つ。それは、物事はテストを重ねて当たり前ということです。
1つひとつのトライがテストの途上だと考えれば、失敗は失敗とさえいえないかもしれません。実際に前述の僕のメンターも、言葉では失敗を失敗と話しますが、やはりデータの1つとしか考えていないようです。
とにかくしつこいくらいに、「成功するまではすべてがテストだ」とその人の行動を見て教わりました。
そうすると、マインドセットの転換で何事もテスト前提で臨めるようになり、テストの実施方法や検証に楽しみを覚えるようにさえなりました。
たとえば、告知方法がよくないのか? 告知する時間がよくなかったのか? そもそも題材に問題があったのか? 1つひとつ、もう一度テストをしてみて比較する習慣がついたのです。
このような考え方が身に付いてくると、上手くいったときの感動は本当にひとしおのもので。ビジネスは科学に近いものだということが分かるのです。
「起業は99%が運、1%が才能」という言葉をご存知ですか?
このようにいわれると元も子もないと思われるかもしれませんが、捉え方によっては、才能の占める割合はほんのわずかにしか満たないことが分かると思います。
そして99%が運なのだから、成功もあれば失敗もあって当たり前。どう転んでもおかしくないからこそテストが大切だということです。
まとめ
僕自身、そうはいっても失敗に感情が入り込む余地がないとはいえません。やはり嫌なものは嫌です。それでも以前よりずいぶん、失敗はデータだと考えられるようになりました。
嫌な感情があるなりに、悔しくてまた行動しようとも思えます。少なくとも上手くいかない理由が「分かる」まではやめない。今はまだ早いだけ、という結論が出るときもあります。
かの本田宗一郎氏は
『チャレンジして失敗を恐れるよりも、何もしないことを恐れろ』
という言葉を残されています。
何もしないことは楽です。それはそれで個人の考え方ですが、まるで失敗のない人生などあり得ないように、失敗なく成長するビジネスもまたないと思います。
失敗は過程であり成功に至るデータである。そう、考えてみてはいかがでしょう?
今回のまとめ
- 起業家にとっての失敗は立ち止まってしまうこと。行動の最中にある失敗はデータ
- 完璧主義になって失敗しないためのハウツーばかり求めないこと
- 「成功するまではすべてがテスト」そう思えればビジネスが楽しくなる
今回お伝えしたことが、あなたのビジネスを飛躍させるヒントになるとうれしいです。最後までお読みいただき、ありがとうございました。
コメント