元編集者として800件以上を取材。実店舗・中小企業様を選ばれる存在に導く、地域特化Webコンサルタントの大鹿です。
あらゆるモノやサービスが成熟期(飽和期)にあり、誰もがそれを知っている。そんな社会においては、似たり寄ったりで自分自身違いが分からず、どう独自性を打ち出せばいいか分からない…というお悩みはないでしょうか?
大なり小なり、誰もがぶつかるポイントだと思います。今回はモノの機能性だけに頼らず、あなた自身の強みを独自性にしよう、というテーマでお伝えをしていきます。
後でも書きますが、モノやサービスを売っている人=「誰」で勝負をすることは、市場に入るのではなく、作ること。
僕自身もそのステップの最中ではありますが、あなたや僕という存在「でなくてはならない」と社会から思ってもらえたら…無敵になれると思いませんか?
USPとMSPの違い
ちょっと堅っ苦しい話になりますが、少しだけ。アメリカ発のドミノピザは開業当初、「30分でお届けできなければ、全額返金いたします」というお客様への約束を打ち立て、ヒットしました。
(有名なキャッチフレーズですから、ご存知かもしれませんね)
ここでいう約束は、USP(Unique Selling Proposition)と呼ばれるもの。分かりやすい企業の独自性。機能の差別化です。
・・・独自性? と疑問に思った方は、かなり勘がお鋭い。というのもこれ、最初にやったから斬新だっただけであって、やろうと思えば(企業体力があれば)どこでもできることなんですよね。
ただ真似しただけでは二番煎じですが、先行者の独自性に新しい付加価値を付け足せば、さらに新たな独自性になる。実はこれでは、イタチごっこの繰り返しなわけです。
(現に、いまのドミノピザのUSPは上記のものではありません)
宅配ピザという市場が真新しいうちは通用したものが、市場が成熟しているうちに、それだけではどんぐりの背比べのようになっていきます。
資金力がある大手企業はこのやり方でもやっていけますが、地域の中小企業やお店は…そうもいきませんよね。
そこで現代においてその重要性が謳われているのが、MSP(ME Selling Proposition)といわれるもの。MEですから、人・売り手、つまり「誰」の部分をフォーカスしようという考え方です。
堅っ苦しいお話をしていますが、飲食店を利用するとき、「このお店に通い続けよう」と思えるのは、店主の人柄であったり、そのお店とお客様が作る居心地のよさだったりというのが、かなり大きいと思うんです。
まして似たり寄ったりのお店が立ち並ぶなか、一度ならず二度以上通う店の判断基準として、「誰」によるものはかなり大きいはずです。
お客様にとっての自分の価値を知ること
モノの機能を強みにすることは、すでにある市場に入って勝負をすること。一方、「誰」で勝負することは、自分自身で市場を作ることといえます。
極端な話、「あなた」という店主のファンになってくれれば、ピザだけじゃなく、あなたが愛読している本を、「私も読みたい!」と買ってもらえるかもしれません。
(今まで見向きもしなかった本なのに、尊敬している人が読んでいるから読んでみよう、と思えるような感情です)
MSPが確立できれば競争の起こりようがありませんから、長期的なビジネスをすることができます。しいて言うなら、比べるのは過去のあなただけ。
ですがじゃあ、「個性を打ち出せばいいのね!」と短絡的に考えてもダメで。あなたがいくら素晴らしい経歴やスキルを持っていても、それがお客様にとっての価値でないと、意味がないんですよね。
「その経歴・スキルは、私をどう導いてくれるのか?」。お客様の視点に立って、考えなければいけない。とかく素晴らしいキャリアがある人ほど、その罠に陥ってしまうかもしれません。
実は僕も(自分が自慢できる存在だとは思えませんが)、起業に際し地元の創業塾に通っていた頃、講師の方に「その経歴・スキルは、お客様をどう導くものなのか?」と、ズバッと突っ込まれました。→「たしかにー!!!」
キャリアを掘り起こすことに必死になって、かんっぜんにお客様視点が抜けていたわけです!
でもこのやり取りにもヒントがありまして、人は、自分のことは自分では見えないということです。だからこそ、他人に自分の良さ・強みを聞いてみることが大事だと思います。自分=企業、お店に当てはまりますね。
企業としては商品力で選んでもらっていると思っていたのに、お客様に聞いてみたら、担当の営業マンの人柄が良かった。とか、取引先が信頼性のある企業ばかりで安心できた。といったことはザラにあります。
自分が思い込んでいたことと違うことを知るのは、嫌なことかもしれません。それまで信じていた方向性を、ガラッと変えなければいけない場合がありますからね。時間も労力もかかります。
僕自身もあまり好きではなかったのですが、人に聞ける機会はそうそうないと気づいてからは、お金を払ってでも聞きたいと思えるようになりました。だって、聞いて教えてもらえる関係になることに、まず労力を使いますから。
ですから、もしあなたに「聞ける機会」があるなら、ためらわず遠慮せず、聞いてみていただきたいものです。必ず新しい発見がありますし、それがお客様とあなたの間のミスマッチを埋めることになります。
お客様と「売った買った」を超えた関係になれる!
ビジネスをするからには、「あなたから買いたい」「あなたから提案してもらいたい」とお客様に感じていただける状況が理想ですよね。
機能合戦になってしまうと資本力のあるライバルには勝てないし、価格競争になると、買った側も負けた側も疲弊してしまうだけ。
ではMSPで「選ばれる」には? というと、
- 先ほどお伝えした、お客様にとっての「自分」の価値を正しく知ること
- お客様が共感できる『想い』を持つこと
- その想いや価値をしっかり発信すること
が必要になります。
ここも勘違いのもとなんですが、いくら熱い想いを持っていたって、独りよがりのものでは意味がないんですよね。
「ウチの商品は素晴らしいんだ! こんなにこだわってるんだ! だから買って!」というわけには…いかないですよね。あくまで、想いを抱くことにも、お客様の未来を明るく導く要素が欠かせないです。
自分の価値も想いも、本心からのものであれば、一本串を通したあなただけの強みになります。だからこそ、あなたはどういう想いで自分の仕事をやっているのか? なぜそういう想いを持っているのか? 明確にしていくべきだと思います。
お客様があなたにとっての理想の存在であり、お客様の方も「あなたから買いたい」「オススメされたい」という関係になれれば、単なる「売った買った」を超えた、長期的に頼りあえる信頼関係を結べますよね。
加えて大事なのは、自分の価値・想いをしっかり発信すること。「相手はわかってくれる」という待ちの姿勢では、残念ながら、本当は素晴らしいあなたの価値を知る手段がありません。
特に現代は情報過多な時代ですから、埋もれているものをわざわざ見つけにいくほど、人は時間に余裕がないです。露出の機会を増やし、伝えようという意思を持って行動しなければ、信頼関係を結ぶきっかけすら作ることができない。
情報発信というのは成果が見えにくく、つい実務を目の前にして疎かになりがちですが、長い目で見たら欠かせないものなので、少しずつでもその習慣を持ちたいものです。
まとめ
昨今のコロナ禍のなかで、地域の企業やお店のなかでも「本当に必要とされる存在」と「そうでない存在」に、ふるいがかけられたと感じています。コロナに振り回された飲食店でも、業績がそれほど落ちていない、どころか過去最高といったところもあると聞きます。
そういったお店は日頃から、今回お伝えしたMSPという概念を意識的に理解し、ビジネスに落とし込んでいたんだと思います。だから、困難な状況下にあっても、いやあったからこそ、選ばれる存在になれた。
ライバルとの競争のうえに成り立つ独自性では、いつ取って変わられるかも分かりませんし、世の中に劇的な変化が起こったとき、耐えうる土台もありません。
自分の価値を知る。想いを掘り起こすというのは地味な作業ではありますが、僕自身やってよかったことの1つだと感じていますし、長期的な目線でオススメできる取り組みです。
- 機能を差別化するだけでは、体力のない企業やお店が戦っていくにはジリ貧になりかねない。だからこそ、「人」で選んでもらえる土台作りをし、自分で市場を作っていく
- 独自性とは優れた経歴やスキル以上に、お客様にとっての価値はなにか? であること。ミスマッチを起こさないためにも、自分の価値を人に聞いてみるのも大事
- 価値と想いに一本串を通し、しっかりと発信していこう。そうすれば、「売った買った」を超えた、お客様との理想的な信頼関係を結ぶことができる
かなり抽象的なお話になってしまいましたが、1日10分でも15分でも、自分自身について考えたり、人に聞いたりする時間を持つことが大切だと思います。
目に見えないことほど普通の人はやっていないものですし、あなたが抜きん出るためにも、ぜひ取り組んでいただきたいところです。お読みいただき、ありがとうございました!
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