今回はセールスについてのお話。
「高飛車セールス」あるいは「殿様バッタのセールス」という営業手法があります。(出典:『非常識な成功法則』より)
営業マン(=売り手)が傲慢になってものを売るのではなく、
- 購入してくれる可能性が高いお客様を見極め
- 専門家としてプライドを持って価格と価値の交換をする
というものです。
「高飛車セールス」の反対語として「お願い営業」がありますが、これは「なんとか買ってもらえないか?」と必要以上に頭を下げて買ってもらう営業スタイル。
商品の価値に自信がなく、また内心価値がないことを認めつつ、懸命になって買い手を説得しようとします。「購入してくれる可能性が高いお客様を見極める」というステップがないために起こること。
その結果、「必要があるかどうかも分からないものを買ってあげるのだから」と価値交換のパワーバランスが崩れ、買い手と売り手に上下関係ができてしまう。商品の価値は崩れ、値引きだなんだという話にさえなってしまいます。
もしかしたらお読みのあなたにも、こうした経験があるのではないでしょうか? 必要以上に卑屈になってものを売った、という経験が。
買ってくれる可能性を見極める。大事なのは時間
僕は6年ほど、中小の食品商社で営業マンをしていました。
幸い、僕は新規のもの作りがメインの部署にいたので、お客様から要望を聞き、その要望に見合う商品を作って販売する機会が多かったです。
しかしいわゆる一般的な営業チームは…やっていたんですよねえ。お願い営業を。
それは彼らに責任があるわけではなく、抱えている自社商品が「安かろう悪かろう」なものばかりだったというのも大きいです。
必死で競合より安いだのおトクだのという点ばかりアピールしているのですが、作り笑いを浮かべて買い手を説得し、値引きを強要されたうえでようやく売れる。食品のように1円2円で稼ぐ業界で値引きをするのは、命取りなのです。
そういうやり方しか知らない。あるいはそういうやり方が染み付いてしまっていると、お願い営業しかできなくなります。本当に商品を必要としてくれるお客様にさえ、いらぬお願い営業をしてしまうことになる。
ベテラン営業マンでさえそのような調子だったので、嫌気がさした僕は絶対にお願い営業をしませんでした。
興味がないようなら無理して売らない。本来もの作りの担当というプライドもあったので、会社から「売ってこい」といわれたものは売らず、そんな話はさっさと終わらせてもの作りの提案をしていたくらいです。
なぜなら、【購入してくれる可能性が高いものを売る】のが、買い手のためでも売り手のためでもあるから。お互い時間を使って商談をしているのだから、価値あるもののために時間を使うべきですよね。
結果、ノルマを課せられたものを売らなくても営業成績は良かったです。
と、自慢をしたいわけではないのですが、売ろうとする前にそもそも「買ってくれる可能性が高いか? 低いか?」を見極めるのは必要なステップだと思います。
お互いの貴重な時間のために。
人は本能的にセールスを嫌う生き物
人は本能的に売り込まれることを嫌います。あなたも買い手の立場なら、そうではないでしょうか? 「売られる」と感じた瞬間、売り手からそそくさと足を遠ざけませんか?
逆に、欲しければ自分からお願いをしてでも購入するはずです。買えてうれしい。心から売り手に対して「ありがとう」と言うかもしれない。
このとき、お金と商品の価値を交換しただけであって、両者に上下関係はありません。
僕も好きな言葉なのですが、買い手に「ありがとう」といわれ、売り手は「どういたしまして」という。それくらいの信頼関係になれるのが理想ですね。
お客様の3つのタイプと高飛車セールスのキモとは?
お客様には3つのタイプがあるといわれています。
- 今すぐ欲しいお客
- そのうち買うかもしれないお客、検討客
- 今買うつもりはないが商品の利得には興味があるお客
今すぐ欲しいお客に対しては、「売る」までもなく商品をポンと差し出したら買ってくれるものです。すぐにでも欲しかったのだから、「ありがとう」とさえ言ってもらえるかもしれません。
正反対の「利得には興味があるお客」は、逆にその場で買ってもらおうとしてはいけないお客。利得にしか興味がないので、そうではなくその商品の価値を感じてもらえるよう、価値観を変えてもらう教育が必要です。
これはセールスの範疇から外れるので、今回はパス。
「高飛車セールス」といわれるアプローチでキモになるのは、「そのうち客」への対応です。
そのうち客に対しては、買う意思があるかどうかを確かめます。ただし、お願い営業はしません。
- 今使っている商品・サービスになんらかの不満があるか?
- 不満があるとしたら、それを使い続けることで将来こんな不利益があるかもしれないこと
- 自分にはこんなメリットのある商品があるが、説明を希望されるか?
決して無理に売り込もうとせず、買い手に判断を委ねるようにすることが大事です。ここで売り込んでしまうと、売り手と買い手のパワーバランスが崩れてしまいます。
買い手が興味を示さないようであれば、もうその話は切ってしまうこと。商談そのものを潔く終えるか、まったく別の商品の話に移ります。
営業マン時代の僕もあったのですが、興味を示さないと分かるや話題を変えると、あとあとになって「ところでさっきの〜」というふうに話が戻ってくることがあります。
そうしたら、「買いますか? 買いませんか?」と、また率直に判断を委ねる。やっぱり必要だったという声が返ってくることもありました。
とにかく、売り手から必要以上に下手に出ない、追わないことです。
なぜならあなたは商品を扱う専門家であり、商品に価格以上の価値があるのであれば、それは単に必要ではないお客を前にしているだけだから。
むしろ買い手にとっても、買わないにしても相手に自信を持っていてもらった方が気持ちがいいはずです。それほど、下手で卑屈なお願い営業は、どれだけ取り繕っても心地いいものではないのです。
だから話は戻りますが、目の前のお客は買ってくれそうな人か? そうでないか? を見極めるステップを意識して組み込むことが、セールスには大切ですね。
まとめ
もしかしたら「いやいやそうはいっても、売れなければ現実問題困るし」という声もあるかもしれません。
その気持ちもまた非常によく分かるのですが、だからといって「売ろう」「売ろう」という姿勢が前面に出るほど、売り込みを嫌う人間は後ずさってしまうということです。
であれば、その商談はさっさと終わらせて、買ってくれる確度が高いかもしれない次のお客にアプローチする。
その方が効率的だし、回り回って、そのとき買ってくれなかったお客の時間を必要以上に奪わなかったのだから、遺恨を残すこともありません。また別の機会に別の商品でセールスをすればいい。
考え方を変えることが大事ですね。営業とは「説得して丸め込む」のではなく、「買ってくれる可能性の高い今すぐ客またはそのうち客を探すこと」だと。
今回のまとめ
- セールスの本質は、購入してくれる可能性が高いお客様を見極めること
- 今すぐ客には、「売る」までもなく商品を差し出すだけでいい。感謝もされる
- そのうち客には、買う意思があるかどうか判断を委ねる。下手に出ないこと
どんな業界にも通じる不変の原則ですし、あなた自身が常に自信を持ってセールスに取り組むことにもつながると思います。参考になればうれしいです。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
コメント