起業したての実績がない時期に何をすべきか? についてお話します。
「仕事が欲しいけれど、実績がないからつくれない」という悩みは起業して誰もが抱くものだと思います。
一部のコンサルタントやノウハウ発信者たちはさも「実績なしでもできる・売れる」みたいなことを語っていますが、
“実績はないよりあるほうがいい”
に決まっています。それが王道でしょう。
起業したら大変なことばかりなのに、いきなり邪道に染まっては本末転倒です。
ではどうすればいいのか? 起業して3年目に入った私の経験からお伝えしていきます。
実績がない時期の裏技などない
世の中のいわゆる「起業の成功ノウハウ」は、だいたいが“ある程度実績がある人”向けです。
そして実績ゼロからの仕事の獲得方法については、面白いくらい誰もがノウハウを語りません。
なぜかというと、起業家が置かれた環境や業種、経験の違いなども大きいですがそもそも、上手い攻略法などないから。
実績がなくても、人との付き合いや関係性から仕事が生まれることはあります。よほど強い技術や独自性を持っている場合なども。
けれど、成功ノウハウの発信者からするとそれは「商売になる攻略法」ではないので語らないわけです。
裏技などないものはないので調べても答えは出てきませんし、そもそも今、事業を形にした人たちがそんなものに頼ってきたのか? というと違うはずです。
結局、ラクな方法などないので王道的なことをやっていくしかないと思います。
実績がない時期にすることはたった1つ!
実績がない時期にすべきことはシンプルで、「実績をつくる」ことだけです。「元も子もない!」と思われたかもしれませんが紛れもなくこれだけ。
マーケティング用語に「イノベーター理論」というものがあります。
いわゆる、人が市場に対してどんな反応を見せるか? を分類したもので、中でもアーリーアダプターと言われるタイプは流行に敏感で新しいものを試したいという傾向を持ちます。
起業して実績がない時期は多くの人と接触し、いかにアーリーアダプターと出会えるかがカギになると言われます。
難しい書き方をしましたが「へえ、(あなたのサービスは)どんなものなの? 1つ試してみるよ」と言ってくれる人に出会えるかどうか。
そしてこればかりは数打ち当たれの行動量しかありません。
営業マンから独立し、1年で年収1,000万円を超えた知人がいますが、やったことは単純で「人に会いまくって悩みを聞いてきただけ」と言っていました。
その結果として実績が積み重なっていった、と。
悩み=仕事の源泉であり、人の悩みを解決することがビジネスです。ですから、触れる悩みの数を増やすことは仕事をつくり実績を増やすための王道中の王道です。
起業するとオフィスだったり設備だったり広告費だったりとコストがかかるものですが、「人への投資」にもバランスを取るべきだと思います。
結局、仕事は人と人の間に生まれるものです。交流会マニアのように闇雲に人脈を増やす必要はないですが、「どんな人が自分のサービスを欲しがるか?」を考え、戦略的に人と会うことが重要になります。
間違いだらけの実績のつくり方
実績のつくり方、というより表現の仕方には2つのパターンがあります。そして多くの人が間違った実績表現をしてしまっているのでぜひこれからお伝えすることを参考にしてください。
2つのパターンとは具体的に
- 導入事例
- 成功事例
のことです。
前者の導入事例とは、
- (自社の商品サービスが)◯◯で扱われている
- 〜〜件数●件
- ◯ヶ月で●件達成
といったもの。もちろん一定の信頼獲得要素にはなるのですが、こと「成約」という面から見ると、お客様にとってこれだけでは判断材料になりづらい。
しかし多くの人がこの導入事例の収集ばかりを追いがちです。仕事を発注するお客様の立場になってみましょう。
お客様が欲しいのは自身の「成功」であり、それを確信させてくれるものです。「成功事例」があれば、成功をくっきりとイメージすることができます。
たとえば「家を建てたい」というとき。
住宅メーカーが自分の理想とする家に近いものをつくっていたら、きっと「成功を確信」できると思います。
一例として、最近、私が前職で経験した食品関係のお仕事をするときは、このようにプロフィールを書いています。
- 某カフェチェーンの実績…レジ前菓子で25円の客単価UPを達成し、200店舗全店で1日100万円、月間2,400万円の売上増に貢献
- 某コンビニの実績…新規商品群の導入により、月間15,000円・年間18万円を創出する新規客層が定着。導入8,000店舗で14億の売上をプラスオンできた
- 某100円ショップの実績…競合にはないヒット商品が誕生。単店舗で月間15,000円・全3000店舗で4,500万円の売上UP
こんなふうに書くと、「うちも儲けたいから話聞かせてよ!!」ということになるわけです。
繰り返しますが、お客様が欲しいのは、私たちの実績ではなく「自分たち(お客様自身)が成功できるかどうか」そのイメージです。
あなたはどんな成功事例を描くことができますか? 実績をつくる前からよくよく考えておくといいです。
ポイントは取引価値量を増やすこと
実績をつくる・増やすときの考え方として、先述の成功事例の蓄積と合わせて「取引価値量」という概念を持つことをおすすめします。
このことは私も、経営コンサルタントをされている株式会社カクシン・田尻望氏の研修で学ばせていただきました。
たとえば、私のように企業や起業家さんの売上UPを支援する仕事であればシンプルにどれだけの売上(利益)を上げたか? を数値化する。
集客支援をしていれば集客数の数値化。コストを下げることをお客様に対する自社の価値としているなら、コスト減の総計。またBtoCの事業をされているのなら、お客様からいただいたレビューの数を価値の量としてみる、などなど。
いろいろな切り口が考えられると思います。いずれにしても大事なのは、お客様がどれだけ自社に価値を感じてくれているのかを「見える化」することです。
大事なことなのでまた繰り返しますが、私たちがどれだけ世の中に受け入れられたか(導入実績)ではなく、お客様が成功を確信できるイメージ(成功事例)を見える化することです。なぜなら、仕事を依頼するお客様が望んでいるのは自身の成功だからです。
信頼や関係性の深さはいったん脇に置いておいて、もしあなたが同じ業種の企業複数社に仕事を依頼するなら、取引を行ってきた価値の総量が多いほうを選ぶはずです。それだけ多くの人を成功に導いてきた、ということを価値量が示していますから。
私たちの多くが導入事例の蓄積ばかりに躍起になり、本当はあるはずなのに、成功事例や取引価値量を無視してしまいがちです。これはもったいない!(私も含めて汗)
これから実績をつくっていく方は、絶対に、成功事例! 取引価値量! これらを重要視してください。それだけで今後の仕事の成約率が劇的に変わります。
まとめ
起業すると誰もが実績ゼロです。そしてその状態を都合よくショートカットできるような近道はありません。
また実績がなくてもいいわけもありません。仕事を発注するお客様の立場からすると、ないよりあったほうがいいに決まっています。
そのような起業の立ち上げ期に必要なのは愚直に「実績をつくる」ことです。これ以外の方法はないので、行動量必達でドンドン、あなたのサービスをいの一番に試してくれるアーリーアダプターを見つけましょう。実績は1つひとつ、できていきますから。
今回のまとめ
- 起業時期は実績がないもので、だからこそつくっていく必要がある。新しいものに敏感なアーリーアダプターと出会えるかがカギ
- お客様が得たいのは自身の成功。実績の役割は、お客様に成功を確信させる成功事例である必要がある
- 成功事例の蓄積があなたが提供できる価値の総量=取引価値量になる。総量が多ければ多いほど信用が生まれる
今回の記事は起業して間もない方をターゲットにしました。以上の3つのポイントを意識して実績づくりに生かしていただけるとうれしいです。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
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