ご覧いただきありがとうございます。マーケティングコンサルタントの大鹿です。
起業する前には(起業後もですが)どんな事業で儲けるか、頭を悩ませるはずです。特に、一芸的なスキルを持っているならいざ知らず、アイデア重視でお金を生み出そうとする方はなおさらですよね。
そこで今回は、起業のアイデアを発想するのに役立つフレームワークをお伝えしていきます。具体的には、以下の4つ。
- A+B=Cの法則
- A-B=Cの法則
- A×B=Cの法則
- A÷B=Cの法則
シンプルな考え方ですが、いくつもの事業を立ち上げてきた起業家であり僕のメンターでもある、長綱茂雄さんから教わった手法です。
ただし起業のアイデアなどなかなか発想できないだけに、本記事の内容はやや抽象的なお話になります。あくまでフレームワークであることをご理解のうえ、お役立ていただけるとうれしいです。
イライラはビジネスの種
フレームワークを具体的に解説する前に、そもそもビジネスとは何か? という点についておさらいです。いろいろな考え方があると思いますが、ビジネスってなんだと思いますか?
本記事ではビジネスを「人のイライラを解決すること」と定義してみます。
つまり面倒であったり、悩みであったり、イライラであったりを見つけることは、そのままビジネスの種になるわけですね。
優秀な起業家が自ら好んでサービスにお金を払うのは、体験を積み重ねるためだと聞きます。そしてそこになにか面倒はないか? イライラする要素はないか? というのを探しに行っているということです。
よく言われるのが、イライラの“一歩手前”を解消できればそれがお金になるというもの。
さっそく抽象的な言い方で申し訳ないのですが、たとえば問い合わせや申し込みフォームが煩雑でイライラすることってありませんか? もっと簡単な仕組みにすればいいのに…と思うあの工程が、“一歩手前”のイメージです。
まずこの“一歩手前”、ビジネスの種がぼんやりある状態で、これからお伝えするフレームワークに当てはめてみてください。具体的に見ていきましょう。
足し算:A+B=Cの法則
すでにあるビジネスに別の「効能」を追加して、新しいビジネスに変えるフレームです。
たとえば、古本屋は文字通り中古の本を安く仕入れて値段をつけて売るというものですが、実はもう1つ効能があることをご存知ですか?
エリアマーケティングです。簡単にいうとデータ収集だと考えてください。
どういうことかというと、買い取る本を見れば、その地域で暮らす人の世帯構成や年齢層、趣味嗜好が分かるということです。たとえば子育てに関する本を買い取る機会が多ければ、その地域には若いファミリーが多いということが読み取れますよね。
買い取りから読み取れる情報をデータベース化すれば、マーケティングデータとして販売もできるようになります。これをもとに販促戦略を立てられるわけですから、特に小売業などは、喉から手が出るほど欲しいデータなのではないでしょうか。
このように、ひとつの事業で一石二鳥を生み出す効能を生み出せないか? を考えるのがA+B=Cの法則のポイントです。
引き算:A-B=Cの法則
引き算の勘どころは「手間を省く」ことです。
分かりやすい例が、セルフレジ。セルフレジは、買い手の決済にかかる手間を省きながら、売り手側の手間も上手に省いていますよね。レジに人を立たせないでいいから、人件費を削減することができます。
あるいは、さっさと買い物を終わらせたい、時間を大切にしたいという人はセルフレジ。聞きたいことや問い合わせたいことがある人はこれまで通り有人レジというように、買い手に選択肢を与えられるというのも大きいのではないかと思います。
A-B=Cの法則は、イライラを解決することにもっとも直結するフレームといえるかもしれません。日頃から「手間を省けるものはないか?」とアンテナを張っておきましょう。
かけ算:A×B=Cの法則
かけ算は分かりやすくいうと、ある事業に「異業種」の要素をかけ合わせて新しい価値を生み出すことです。
たとえば、カフェスペース付きのコンビニは、コンビニにカフェの要素をかけ合わせた例ですよね。コインランドリーを併設した店舗などもあります。これらは「衣食住をカバーする」という視点から生まれているアイデアです。
また、発想ベースなので実現性は保証できませんが、アウトドアユースの車を販売しているお店が、いっそのことアウトドア用品まで販売してしまうことも戦略としてありだと思います。
なぜならいずれも、「アウトドアが好き」というユーザーの趣味嗜好・価値観が共通しているから。
A×B=Cの法則において大事なのは、ユーザーのうれしい未来を想像することです。複数の利便性が1つに揃うことによってどんなシナジー(相乗効果)が生まれるのか? を考えましょう。
割り算:A÷B=Cの法則
割り算のベースになるのは、「小分けにする」という考え方です。
電子コミックの1話売りをご存じではありませんか? あの小分けで漫画を販売するというやり方は、試しに安価で(または無料で)体験してみたいというユーザーのニーズをうまくとらえていますよね。
別の視点では、付録付きマガジンで知られるデアゴスティーニの販売手法も、まさに小分けです。数十〜数百号分揃えてやっと付録の模型が完成する同社のアプローチは、マニアックなテーマ選びと相まってコレクターの心をくすぐります。
毎号、小分けにされた付録を集めるからこそ、楽しさが持続するんですよね。仮に1つの完成品キットを手に入れたら、買った瞬間から満足度が冷めていくと思います。あるいは組み立てる作業が膨大すぎて手を出せない可能性もあります。
つまり、小分けだから手が出しやすく、価値も感じられるのです。
A÷B=Cの法則については、いまあるものを小分けにすることでユーザーの利便性が上がらないか? 新しい心理的効果が生まれないか? と考えるのがポイントです。
まとめ
今回お伝えした4つのフレームワークで社会を見ると、驚くほど多くのビジネスが、「足し算」「引き算」「かけ算」「割り算」のいずれで成り立っていることが分かると思います。
このような見方を持つことで自分自身の発想力も磨かれますし、フレームがあることでアイデアのストックも蓄積できます。
改めて、4つのフレームワークをポイントとともにまとめておくので、ぜひ覚えておいてください。起業のアイデアづくりに、きっと役立つはずです。
A+B=Cの法則…すでにあるビジネスに別の「効能」を追加する
A-B=Cの法則…すでにあるビジネスから「手間」を省く
A×B=Cの法則…異業種のビジネスモデルを「かけ合わせ」、ユーザーの利便性に相乗効果を生む
A÷B=Cの法則…すでにあるビジネスを「小分け」にし、新しい心理的効果を生む
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
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