ご覧いただきありがとうございます。マーケティングコンサルタントの大鹿です。
誰でもどこでもいつからでも、持てる才能を100%発揮するためのお手伝いをしています。
ビジネス書作家・神田昌典先生の名著『非常識な成功法則』を、機会があって久々に読み返しています。
本書は「成功法則を商売にして成功した人の本」ではなく、目標達成を“科学的に”解き明かすメソッドです。20年以上前に書かれたものですがまったく古びない内容なので、起業前後の方にはぜひ読んでいただきたいです。
さて、その中に『決断は思い切らないでいい』というコンテンツがあります。以前読んだときはあまりしっくりこなかったですが、改めて読み返してみて理解できたことがあるので、今回はシェアさせていただきたいと思います。
思い切っているようで誰も思い切っていない
いま起業して成功している人の話を聞くと、「金もコネもなかったけど思い切って起業した」というようなことをよく耳にします。
もしかしたらあなたも、そんな話を聞いて「起業には何よりも思い切りが大切なんだ!」と思っているかもしれません。中にはそれを美談ととらえていきなり「会社辞めます」と言い出すかもしれない…が、ちょっと待って!
「思い切って」はいろいろな将来のシミュレーションをしたうえでの最後の決断だったはずです。だって、考えてみてください。
お店を開業するにも、貯金をしたり事業計画を立てたり物件を探したりお金を借りる交渉をしたり、といったように細分化すれば開業までに多くのステップがあります。
最後に自分を後押しするのは思い切ったかもしれませんが、1年後、2年後の開業を目指してそれまでにも着々と準備をしているわけです。
特に飲食店を開業するなら数百万〜一千万円単位のお金を借りることになるので、「よし、飲食やろう」と思い立っていきなり起業に“全振り”するのは不安不安で仕方ないと思います。
つまり、思い切っているようで誰も思い切ってなんかいない。いま成功している人にだって、決断の前には緻密で周到な計画があったということです。
僕の場合は起業前にある程度貯金をしていたことが幸いしました。が、すべてゼロの状態で起業できるか? といわれるとゾッとします。一度思い切って会社に辞表を出したものの、怖くなって撤回した…という人の話も聞いたことがありますが、それも理解できます。
決断までのステップを細分化する
4つのマスを思い浮かべて見てください。そしてこうラベリングしてみてください。
左下は「現在の悪い面」、左上は「現在のいい面」、右下は「将来の悪い面」、右上は「将来のいい面」
『非常識な成功法則』に書かれていることなのですが、多くの起業志望者が左下の「現在の悪い面」から一足跳びで右上の「将来のいい面」にジャンプしようとします。
悪い面とはたとえば、「こんな会社もうイヤだ」「人に使われる人生はイヤだ」「こんな給料ではやっていけない」といったこと。
あるいはここまでマイナス感情でなくとも、「このままダラダラと会社員を続けていたら、退屈な人生になってしまう」といった漠然とした不安でもあるかもしれません。
お読みになっていただいているあなたも、もしかしたら今まさに、そんなタイミングかもしれませんね。
でも現在にもいい面は必ずあります。将来には悪い面もあります。誰もが起業してうまくいくほど甘くない、ということはあなたも内心理解していると思います。
それらを見てみないフリをし、なるべくネガティブな感情を捨てて明るい将来だけを夢見るのは実は思い切りでもなんでもありません。
人間の感情は振り子である
「なんでお前にそんなことを言われなきゃいけねーんだよ!」と思われたかもしれませんね(汗)。でも僕もこの辺りの見通しが甘かったので起業当初はかなり苦労したんです。
ですから僕と同じ轍を踏んで欲しくない! という想いからこの先も綴っていきます。
いい面と悪い面、両方があることは、先ほども書いた通り誰もが内心理解しているはずなんです。しかし世の中の自己啓発を見渡すと「ポジティブであれ!」「明るい将来像をイメージしろ!」とばかり。
そしていつの間にか、悪い面を意識の底に沈めてしまうわけです。でも、これって危険ですよね? 人間に備わった防衛本能を進んで捨てている、ということですから。
人間の感情は振り子です。
いい面と悪い面は必ず拮抗しています。昨日は「これだけ明るい材料が揃っているんだから大丈夫」と思っていても翌日にはやっぱり悪い想像ばかりしてしまう。これが普通。
だから両者の間で頭を悩ませるのは決してダメなことではないのです。
問題は、頭を悩ませるだけで対処法を考えなかったり行動しなかったりすること。その結果、「今はまだできない」という決断を下すのはなんら悪いことではないと思います。
「悪い面」を最小化するには?
決断を下すために大事なのは、「現在の悪い面」「現在のいい面」「将来の悪い面」「将来のいい面」これら4つのマスに平等に向き合うことです。“決着をつける”みたいなカッコいい言い方をしてもいいですね。
悪い面に冷静に目を向けてみましょう。
僕の場合はまさに先ほども書いた「このままダラダラと会社員を続けていたら、退屈な人生になってしまう」でした。会社員から起業する人のうち、結構な割合が同じように考えているのではないですかね、、
悪い面からも得られることや学べることがあります。だから、本当に「悪い面が悪いことだけなのか?」と検討することが重要です。
退屈かもしれませんが働いていれば給料がもらえるといういい面があります。辞めるにしても、どれだけ起業の活動資金が貯まれば辞める、というゴールを決めればいい。
あるいは、まだやり残したことはないか? せっかくなら後々の起業に生かせるような取り組みを会社の中で試してみるのもいいですね。
一方、将来の悪い面について。僕の起業前のストッパーは今思えばこんなものでした。
- 本当にうまくいくのだろうか?
- 起業したとして、お客様を獲得できるのだろうか?
- 具体的に、どうやってお客様を獲得したらいいのだろうか?
- 自分のスキルが本当にお金に変わるのだろうか?
- 何ヶ月も食えない期間が続くのではないだろうか?
- いきなりお金を借りるようなことはしたくない
数え上げればキリがないですが、詰めが甘々です(苦笑)。
今の自分なら問題の“センターピン”をズバッと当てられるのですが、上記でいえば真っ先に対処すべきなのは「お客様の獲得」です。
不安が不安のままモクモクと心の中に広がっていくのは、たいてい自分の課題が曖昧だからです。
営業先をリストアップして、その人たちの困りごとをリサーチして、広告を出すのなら相手が見ていそうな媒体を検討して…というふうに課題の解像度を高めていきます。
「撤退目標を決めてしまう」のも賢明です。最近知り合った方のケースだと、会社に突っ込んだ資本金が尽きたら終わりにしようと決めている、とお聞きしました。
起業は一度きりのものではないですし、引き下がる一線を決めずに怠惰な状態を続けるよりはよほど“いい思い切り”だと思います。
会社員時代は起業塾
少し話が逸れますが、あなたが今、かつての僕と同じように会社員なのであれば。
先ほども書きましたが会社という場所を「使い倒す」くらいの気持ちで起業までの時間を過ごしてみてはいかがでしょうか?
お金をもらいながら(縛りはあれど)やりたいことができるなんて素晴らしい環境です。会社を辞めてから分かりました。。
思い返せば僕は商品開発の仕事をしていたので、商品パッケージでネーミングやキャッチコピーの成果を試していました。でも、もっとやっておけばよかったかなと今は思います(苦笑)。
僕が携わっていた食品業界などは面白いもので、たとえば「なんだかんだ王道のものが売れる」(気をてらったものは売れない)という摂理のようなものがあります。
塩味のフライドポテトは売れるけれど、「てりやき味」みたいなものって売れないんです。挙げ句の果てには品揃えを横展開すればするほど、売れていた商品のパイさえ奪ってしまうことになる。
だからなのか、僕は変わったことはしません(笑)。誰にでも分かりやすい王道。それが自分の目指すところです。
僕のような異業種起業の人間であっても、会社員時代の経験は必ず生きます。むしろそれがあったからこそ今の自分の強みになっているくらいですから。
会社員時代は起業塾です! ダラダラ決断を先延ばしにして続けるのはよくないですが、「本当にやり切れていないことはないか?」考えてみるのもいいのではないでしょうか?
まとめ
今回は、「起業の決断は思い切らなくていい」というテーマでお話してきました。
もし今、あなたが現在の悪い面から将来のいい面へ一足跳びでジャンプしようとしているのなら…立ち止まって起業の成功確率を上げるためのいい機会になると思いまして。
お伝えしてきた通り、人の感情は振り子なので今日は気分が上々でも明日には言い知れぬ不安に襲われるということもあります。それが普通の人間の反応です。
決して焦らないでください。不安とじっくり向き合うからこそ、着実な一歩を踏み出せるようになりますよ。
今回のまとめ
- 思い切った決断は結果的にすることであり、今すべてを捨ててやることじゃない
- 「現在の悪い面」「現在のいい面」「将来の悪い面」「将来のいい面」に平等に向き合おう
- 悪い面にしっかり目を向け、それらを最小化できる方法を考えよう
そうはいっても「いい面」「悪い面」を言語化するのが難しい…ということでしたら、大鹿が壁打ち役になります! お気軽に無料相談をご利用くださいね。
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最後までお読みいただき、ありがとうございました。
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