ビジネスコミュニケーションは、口下手でも全然オッケー。
僕もまったく話し上手なタイプではありません。正直いうと、自分から話題を振るのは苦手意識があります。
が、コミュニケーションにはさほど困ったことがありません。
コンサルティング業界やコーチング業界で「聞く9割・話す1割が目安」というように、徹底的に聞き手に回っているからです。
聞くことなら口下手でもできます。今回お伝えするように、いくつかのポイントがありますから。すぐに実践しやすいトピックをご紹介していきます。
相手の話を「。」まで聞き切る
相手が何かをしゃべっているとき、「次のターンはどう話を返そう?」「うまく返さなきゃ」と思ったことはありませんか?
しかしこれには盲点があります。相手の視点に目を移してみましょう。
自分が話しているときに相手が「どう返そう?」といかにもな感じで考えていたら、決していい気分ではありませんよね。名著『7つの習慣』にも書かれていることです。
ではどうすればいいのか?
単純です。話を聞き切るように意識します。「。」まで聞き切る。
単純といいましたが簡単ではありません。頭の中で「どう返そう?」とばかり考えていたクセを矯正するのは並大抵のことではありませんし、多くの人が基本的に話したがりです。
グッと話をこらえる訓練をする必要があります。
これができるようになるだけで、コミュニケーションはかなり変わります。
相手からすると「しっかり話を聞いてくれている」わけですから、心象がよくなり信頼感も高まります。
そしてあなたは、じっくり相手の話を咀嚼したあとで言葉を返せばいいんです。
多少、間が空いてもOK。なぜなら「時間をかけて考えている」ことは印象よく相手に伝わるからです。
オウム返しをする
これは同調を示すテクニック。
たとえば「アポが断られすぎて落ち込んでいるんだ」と相手がいったのなら、そのまま「アポが取れなくて落ち込んでいるんだね」と返す。このようなイメージです。
「そうなんだね」でもいいのですが、やや愛想がない感じがします。いきなり「それは〜〜がいけないからだ」なんていうと、相手は否定された気持ちになって話が続かなくなる。
いいたいことがあってもグッとこらえて、一度、オウム返しで同調を示すようにしましょう。「聞いてくれている」「理解しようと努めてくれている」という心象を与えることができるからです。
またこうすることで、相手が自らを内省してもっと考えるきっかけにもなります。後述する「マジッククエスチョン」というやり方で、相手の考えを掘り下げていくことも可能です。
このオウム返し、非常にさりげないひと言ですがその後の会話の質が本当に変わるので、ぜひやってみてください。
マジッククエスチョンで掘り下げる
マジッククエスチョンとはズバリ、
- 「たとえば?」
- 「具体的には?」
- 「なぜ?」
- 「どのように?」
- 「他には?」
といった短いセンテンスの問いかけのこと。
「たとえば?」「具体的には?」と聞き返せば、抱えている悩みや課題について相手がより踏み込んで考えるようになります。
「なぜ?」と聞けば理由をじっくり考えるきっかけになるし、「どのように?」と聞けば自分が取っている方法の正当性に目を向けることになります。
そして「他には?」と聞くことで、他に選択肢はないか? やはり自分の現状を見つめ直すきっかけを与えることができます。
試してみると面白い反応が得られますよ。本当に相手が自分自身について考えていることがわかって。
ポイントは、質問を「短く」すること。
こちら側のセンテンスが長くなるほど(つまり助け舟を出すほど)、相手の考えを妨げてしまいます。質問が長いほど答えが短くなる。逆に、質問が短いほど答えが長くなる。
ちょっと気恥ずかしいですが、自信を持って毅然と「なぜ?」というふうに聞いてみてください。本当に、思考のスイッチが入ったことがわかりますから。
相手が沈黙してもOK。なぜなら…
ちなみにたいていの場合、マジッククエスチョンで問いかけると相手が考えている間、沈黙が流れることになります。テンポよく返答できる人もいますが、多くの人は難しいと思います。
「沈黙が怖い」「沈黙の時間があってもいいの?」
と不安になるかもしれませんが、全然オッケー。
むしろ、言葉を挿し挟まないほうがいいです。なぜかというと、沈黙=相手が自分について考えている良質な時間だから。
これを邪魔してしまうということは、思考の妨げになってしまいます。
何かいいたくなる気持ちをここでもグッとこらえて、答えを待ってみてください。相手が絞り出した返答を聞くのは、結構快感です(笑)。
フレームワークを持っておく
あらかじめ質問のフレームワークを持っておくこともオススメです。会話の武器を何も持っていない状態に比べたら、ずいぶん気が楽ですから。
先ほどのマジッククエスチョンもフレームワークの1つですし、学生時代に英語の授業で習ったであろう「5W1H」もその1つです。
個人的によく活用していて効果を感じているのは、「GROWモデル」というフレームワーク。コンサルタントやコーチがよく活用している技術です。
- G=ゴール…理想的な状態・状況は?
- R=リアリティ…その理想に対して、今の状態・状況とのギャップは?
- O=オプション(選択肢)…理想と現実のギャップを埋めるためにできることは?
- W=ウィル(意志)…オプションのうち、できそうなこと・やってみたいことは?
ビジネスはもちろん、人間関係の改善や恋愛相談などあらゆる場面で使える万能フレームワークです。ぶっちゃけ、あれもこれも使いこなそうとせずとも、これ1つでだいたいの場面はクリアできます。
僕たち自身もそうなのですが、人って自分のことほど分かっていないものです。そして悩みや課題があるとき、たいていは自分の中に答えがあります。
相手の中にある答えを引き出すためのフレームワークが、このGROWモデルです。自己分析などにも活用できますよ。
なお、ネタバレみたいですが、僕はしょっちゅうこれを使って話を聞いています。「この人、GROWモデルを使っているな?」といったツッコミはご容赦ください(苦笑)。
まとめ
ここまで、コミュニケーションで聞き手に回る際に使える、質問の技術をご紹介してきました。いずれも、センスに関係なく後天的に身につけられるものばかりです。
最後に注意点を1つ。
それは、相手の話を「こう」だと決めつけないことです。
特に、なまじ専門知識がある人ほど陥ってしまいがちなのが、相手の考えを⚪️か×かで決めつけて「アドバイス」をしようとしてしまうことです。
相手が話しているのを遮って言葉を被せようとしてしまう。自分はいいことを伝えているはずなのに、どうも話が噛み合わない。
こういう状況が多いという方は要注意。コミュニケーション不和になり、会話が続かなくなってしまいますから。
もしかしてギクっとしましたか?
そんなときは原点に立ち返り、グッとこらえて「聞き切る」です。まずそこから始めてみましょう。
今回のまとめ
- 相手の話を「。」まで聞き切る。「話を聞いてくれている感」が生まれ、心象がアップ
- オウム返しをしてマジッククエスチョンで話を掘り下げる。相手が考える時間を妨げないこと
- 即使えるフレームワークを持っておく。オススメはGROWモデル
これらの技術を活用して、ぜひ聞き上手を極めてください!
そうすれば、コミュニケーションに困ることはなくなりますよ。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
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