「せっかく時間をかけてつくったプレゼン資料に、目も通されない!」
「早く結論が知りたい」「価格はいくら?」と答えを急かされるばかり。顧客の課題解決につながる商品を提案しても、メッセージが伝わらない。
そんな状況に歯がゆさを感じたことはありませんか?
これらすべて、かつて法人営業をしていた頃に僕が感じていたことです(汗)。
しかし、なぜダメだったのか? 今なら理由が分かります。今回ご紹介する内容ができていなかったからです。
現役セミナー講師として、またコピーライターとして活動している僕が、「そっぽを向かれないプレゼンのコツ」をお伝えしていきます!
開始1分で相手の関心を引き寄せる「つかみ」3つのコツ
広告や看板、あるいは漫才と同様でプレゼンも「つかみ」が重要です。
「まずは要件の整理をします」と事務的にプレゼンに突入するよりも、「ん? なんだなんだ?」というように、グイッと関心を引き寄せる必要があります。
たとえば、プレゼンのはじまりでいきなり「87%です」とだけ示されたらどうでしょう? 「何が?」と強く関心を持つはず。つかみのテクニックとしては、以下のようなポイントがあります。
①数字を用いる
イチバン扱いやすい、つかみのテクニックがこれ。「数字」を使うことです。人間の傾向か、数字は人の興味を強くかき立てます。
それも、余計な説明はいりません。まずは端的に数字だけを提示します。先に示した「87%です」みたいに。
そして、その数字の正体や根拠を種明かししていく、というイメージです。たとえば、
「実は、スーパーで買い物をする主婦の実に87%が、袋に書かれている原材料に不安を感じたらものを買わないという意思決定をしている」ですとか。
数字のテーマは当然、なんでもいいわけではなく、お客様が抱える課題に関係のあることをチョイスしましょう。
②質問を投げかける
「?」で終わる一文を投げかけます。たとえば先の例に合わせると、
「あなたはスーパーでものを買うとき、原材料表示をどれだけ見ていますか?」
といった感じです。
疑問系で問われると、人はその答えを探るべく考えます。考えるということは、やはり関心を持っているということ。答えが知りたくてウズウズして、早く先の展開を知りたくなるのです。
これも扱いやすいテクニックなのでぜひ活用してみてください。
③常識をひっくり返す
世の中でよく知られている常識と反対のことを伝えます。たとえば、
「高収入の転職を果たしたいのなら、エージェントは絶対に使わないでください」
のように。そしてそのあとで、この例であればエージェントを使うべきでない理由を論理的に説明していきます。
「高収入転職にはエージェント」という常識を持っていた人は、「自分が間違っているのではないか?」「知っていなければマズいのではないか?」という気持ちが芽生え、耳を傾けるようになります。
強烈なつかみを演出したいときは、おおむねこれら3つのパターンでOK。数字を使って質問を投げかけるなど組み合わせるのもアリです。
元も子もない話ですが、プレゼンを聞きたくて聞いている人なんていません。だからこそ、相手に関心をもってもらうために驚きの感情を与える必要があるのです。
構成のヒントはあのコピーライティングの有名法則
さて、つかみで関心を引くことができれば、次は…いきなり商品説明をはじめるのはNG。
人は売り込みを嫌う生き物です。ですからその前に、相手を受け入れ態勢に導く必要があります。
大事なのは、相手が抱えている問題にこちらから先回りして(問題を焦点化)、その後、問題を解決するのが私たちの商品なんだよ、という組み立てをつくることです。
こうすると、売り込み臭を弱めながら話に関心を持ってもらうことができます。
プレゼンの組み立てで使える便利な法則があります。それが、コピーライティングの世界でも著名な「新PASONAの法則」というものです。
- P=Problem…問題を焦点化する
- A=Affinity…相手の立場に共感する
- S=Solution…解決策を示す
- O=Offer…商品・サービスを提案する
- N=Narrow…適する人を絞り込む
- A=Action…行動してもらう
特に、P〜Oまでの流れはそのままなぞってプレゼンの構成に活用できます。
すなわち、相手に問題を感じさせ、それが相手1人の問題ではないと認識してもらい(みんなの問題化)、解決策があることを示し、商品・サービスを提案する、という流れを組み立てます。
どうでしょう? 自然な流れではありませんか?
試しに、あなたがプレゼンしようと思っているものを上記の流れに沿って紹介してみてください。誰かに聞いてもらうといいです。
僕も聞いたもらった経験がありますが、相手が問題と解決策を自分ごとに感じてくれますよ。
新PASONAの法則は経営コンサルタントの神田昌典氏によるもので、プレゼンの企画書に使えることは著書『コピーライティング技術大全ー百年売れ続ける言葉の原則』のなかで共著者の衣田順一氏が語っています。
(ちなみに衣田氏は元・バリバリの営業マンということ)
ぜひ、活用してみてください。
プレゼン資料に「文章」を書かない
プレゼン資料を文章で埋め尽くす必要はありません。
資料で伝えるのはあくまでキーメッセージ。つかみでお伝えした要点と同じです。キーメッセージで関心を持たせて、話に引き込む。
注目してほしいのは資料に書いてある文章ではなく、プレゼンそのものですよね?
「読んでわかってもらおう」とすればするほど資料に書く文章が長くなり、読みにくい体裁になってしまいます。すると結果、飽き飽きとされてプレゼン内容そのものへの関心が失われかねません。
資料に書くテキストは、多少日本語としてヘンであっても「短く」するように心がけてみてください。読ませるのではなく、目で見て直感的に理解できればOKです。
たとえば、「高収入転職のカギになるのは履歴書の内容よりも転職先のリサーチです」という内容なら、ギュッと短くして「高収入転職のカギはリサーチ」のようにします。
具体的な説明は言葉ですればいい。
1センテンスの目安は13文字前後。例を挙げると、ちょうどYahoo!ニュースの見出しが13文字です。あれくらいが、ひと目見て内容が分かるギリギリのセンテンス量です。
長ければゴリゴリ削ってください。短く! 短く! の意識です。
プレゼン相手は誰なのか?
「そんなこと当たり前だ」と思われるかもしれませんが、意外と落とし込めていないのが、プレゼン相手を意識した内容・組み立てになっているか? という点です。
たとえば、プレゼン相手が個人事業主や企業経営者・幹部といった意思決定者であれば、彼らが大事にするであろうポイントを重点的に語ります。
どれだけ儲かるのか? どれだけのお金・時間を効率化できるのか? どれくらいの成長が見込めるのか? といったことを端的に伝えましょう。
一方、法人でも意思決定権を持たないイチ担当者であれば話は変わります。
彼らには、こちら側のプレゼンを経て、意思決定権を持つ経営者や幹部にさらに説明するというステップがあります。
ですからこのような場合に大切なのは、担当者がうまく説明できるように小難しい用語を排除するとか、根拠を示すよう問われた場合に備えてデータを揃えておく、といった気遣いです。
プレゼンテーターが信用に足る存在かどうかを示す、プロフィールや実績も欠かせないですね。いずれにせよ、直接意思決定者にプレゼンできる機会と比べて、補足内容が増えるはずです。
相手によって本当にケースバイケースです。
だからこそ、プレゼン相手に意思決定権はあるのか、ないのか、こちら側のことをどれだけ知っているのか、またはまったく知らないのか、目の前の相手は話が上手なのか、そうでもないのか、といったことを鑑みて、プレゼン内容を構築する必要があります。
さて、次のあなたのプレゼン相手は誰なのでしょう?
まとめ
プレゼンの典型的な失敗例というと、一方的な商品説明に終始してしまうこと。「誰に・何を伝えるのか」という原則を曖昧に理解して、しっかり内容や構成に落とし込めないことなどが挙げられます。
僕たちはなにも、天才的なトークの達人になる必要はありません。
今回お伝えしたような、組み立ての基礎基本を忠実に守って、ただ実践を繰り返すのみ。やればやるほど、相手が「しっかり話を聞いてくれている」という感覚を覚えるはずです。
プレゼンはロジックです。誰にでもできます!
今回のまとめ
- つかみで相手を引き込むべし。つかみのパターンは数字・質問・非常識の大きく3類型
- 相手に問題をしっかりと認識させ、解決策を提示すべし。いきなり商品説明はNG
- プレゼン相手が意思決定者なのか? そうでないのか? で内容や構成をチューニングすべし
ぜひ、今回お伝えしたポイントを活用して、あなたもプレゼン巧者になってください。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
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