ビジネスパーソンにとって、本から情報を仕入れたりスキルアップに生かしたりする事は日常茶飯事。しかしながら、
- 「目を通したはいいものの、たいして頭に残っていない」
- 「役に立ちそうな本は片っ端から買っているけれど、積ん読になって読み切れない」
といったような事はありませんか? 情報が溢れすぎているというのも困りものですよね。
今回は、日頃読む本の吸収効率を劇的に高める方法をお伝えしていきます。
キーワードは「何を読むか」ではなく「いつ読むか」。
またビジネス書に限ったことですが、本の「構造」に着目すれば、さらに効率よく読むことができます。編集者をしていた経験を生かして、本の構造についてもひもといていきましょう。
課題に直面したときに読め!
「役に立ちそう」と思って買ったのに、読んでもいまいち頭に入らない。あるいは読み切れていない。
そのような人は、同じようなケースに当たった時、必要性の「緊急度」を考えてみてください。どういうことかと言うと、
- 今すぐ必要(緊急度:高)
- 今すぐではないが、近々必要になることがわかっている(緊急度: 中)
- 将来役に立つかもしれない(緊急度:低)
このように目の前にある本をラベリングします。
これらのうち、すんなり頭に入ってくるのは「今すぐ必要」の本ですよね。理由は読んで字のごとくですが、今日明日にでも活用することが決まっているからです。
一方で、読んだ時は「良い情報を仕入れた」と思うものの、しばらく経つと頭からすっぽ抜けてしまうのは大抵「将来役に立つかも」というラベリングをした本のはずです。使わないから内容などすぐに忘れてしまいます。
本の吸収効率だけを考えれば、なるべく「将来役立つ」本は減らして「今すぐ必要」な本のバランスを増やしていくといいですね。また今すぐ必要な本と、近々、必要になる本を並行して読むのも良いでしょう。
なるべく、あなたの直面している課題に近いテーマの本から読むのがポイントです。
では、教養書のような、緊急度が低いけれど遠い将来に役立つような本にはどうアプローチすればいいのかと言うと、1つの方法がアウトプットを目的にするとことです。
例えば、内容の要約を1週間に1度、SNSで投稿することを習慣にする。ブログでも音声配信でも良いでしょう。
あるいは、グッとハードルを落として、1週間に1度、手帳に本で読んで、心に残ったセンテンスをメモしておくと言ったことでも良い。
こうすることで、仕事とは直接関係ありませんが、本を読むという行為に「課題性」と「緊急度」が生まれます。少なくとも、目的もなく、なんとなく目を通すよりはずっと頭に定着するはずです。
いずれにせよ、これから読む本に対して自分なりの課題を紐付けることが、吸収効率を高めるカギとなります。
ちなみに、今まさに僕もリサーチスキルに関する本を読んでいます。プレゼン資料の作成を控えているタイミングと言うこともあり、短時間で要点が頭に入ってきています。
「構造理解」すると読書が早くなる
すべてこの通りと言うわけではありませんが、本はおおむね以下のような構造で書かれていることが多いです。順番もこの通り。
- 著者の主張とその根拠・背景
- 主張の全体像
- 主張についての各論・具体的なハウツー(ステップバイステップ)
- その主張を読み手が実践することでどうなれるのか
試しに本棚から本を手に取り、ざっと目を通してこのような構造になっているかチェックしてみて下さい。近い構造になっていると思います。
特に著者の主張については、繰り返し繰り返し論じられているはずです。ですから逆に、本の頭の方で主張をしっかり理解しておけば、読まなくていい箇所もいくらでもあるのです。
根拠や背景については、ことさら深く読み込む必要はありません。ここは大体難しく書かれていて挫折しがちになるポイントですが、その難易度に対して重要度はそれほど高くないです。
本を読む目的は、少なくとも仕事においてを「活用」することですから、全体像を理解すればさっさとハウツーに目を通せば良いです。一言一句熟読するのではなく、ざっと読みながら「使える」と思った箇所にマーカーを引くなり、付箋を貼るなりしてさっさと実践に活かしましょう。
土台、1冊の本を読んで全てを理解し記憶し、使いこなすことなんて超人でもなければできません。
それよりも、1つのことを覚えたら使ってみて、また新たに1つのことを覚えたら使ってみて、を繰り返したほうがよほど実践的です。読むスピードも上がって、なおかつ吸収効率も高まります。
武勇伝か? 再現性のある本か?
最初に本の選び方そのものを間違えてしまうと、吸収効率どころの話ではありません。
というのも、明らかにそれとわかるハウツー本があれば、「この著者だから成功したんでしょう?」と疑いたくなるような武勇伝もあるからです。そして実際は、その線引きは非常にグレーだったりします。
武勇伝って、読んでいてとても心地がいいんです。痛快で胸を熱くさせてくれて、「よっしゃ! オレもやったるで!」という気持ちの高ぶりを与えてくれます。
けれど、その著者のやり方を読者がそのまま真似して成功できるか? と言うと別の話で。割り切って1種のエンタメ本としてなら楽しんでいいと思います。しかし大抵の場合、ステップバイステップで誰にでも取り組めるようには書かれていないはずです。
内容が再現できるかどうかを確かめるための指標として役立つのが、他社の事例があるかどうか? また参考文献が書かれているかどうか? といったことです。
事例は言わずもがな、著者の主張が他人にも再現できたと言う証明です。
またなぜ参考文献をチェックするのかと言うと、それを見れば著者が独りよがりで主張をしているのではないことが分かるからです。過去の偉人たちが残してきたビジネスの遺産を踏襲したうえで、生み出した考えであるということ。つまり、ある程度の信頼性や根拠が担保されます。
武道やスポーツと同じですね。我流にこだわるほど、かえって本来の正しいフォームが身につきにくくなってしまいます。基礎があるからこそその先の発展も体系的に理解できるわけです。
幸いなことに書店に行けば、本を立ち読みして参考文献があるかどうか、また序文や目次を読んで容姿や主張を知ることができます。それを見て、再現性がある本かどうかを判断すればいいと思います。
わざわざ書店に足を運ぶのは今の時代、面倒かもしれませんが価値のあることですよ。
参考文献で知識を縦横に深掘りする
参考文献に書かれている本は知識を深めたり、広げたりするうえで非常に役立つものばかりです。少なくとも、無節操にあれもこれも読み漁るより、よほど知識の吸収効率が高まります。
なぜなら、今読んでいる本に書かれている主張をより広い意味で補完できたり、関連するテーマを学んだりする機会を得られるからです。
例えば、「マーケティング」を題材にした本を読めば、大抵はフィリップ・コトラーという人の著書に行き着きます。それを通してよりマーケティングについて深く理解できたり、それに関連するセールス等についても数珠つなぎ的に学ぶことができます。
絵画や音楽などと同じですね。好きな作家が影響を受けた作家をたどっていくうちに、どんどん芸術に対する知見や関心が広がっていくように。(例が分かりづらかったらスミマセン)
読む楽しみも生まれてくるので、参考文献を頼りにするのはお勧めです♪
本当に使える本は人に教えてもらおう
手当たり次第に「良さそうな」本を買って当たり外れを繰り返すなら、人から本当に役に立つ本を教えてもらうのもいいです。
例えばメンターと呼べる方なら、当然価値観や考え方が通じているわけですから、他を読むより吸収効率が高いはずです。それこそ、今あなたが抱えている課題をドンピシャリで解決できる可能性が非常に高い。
また面白いもので、良質な本だからといって必ずしも売れるものではないと言う矛盾があります。今や絶版になってしまった本の中にも、成功している経営者さんが読んでいる隠れた名作みたいなものがあるのです。
僕自身、そういったマニアックな名著をいくつもメンターから教わってきました。こうしたものは自分1人ではたどり着きようがありません。
先にお伝えした「課題性」「緊急度」と言う話からは少しそれますが、まさに新しい知識の扉が開くかのような刺激的な感覚を覚えます。
こんなことばかりしていると、本棚に本が増えてばかりになるのですが(苦笑)、ザッとでも目を通しておいて記憶の片隅にでも留めておくと必ず役に立つ時が来ます。経験上。
良い本はどんどん、人に教えてもらうといいですよ。それが思いがけない、あなたにとっての宝になりますから。
まとめ
今回は、本の吸収効率を高める方法と言うテーマでまとめてみました。手当たり次第に風呂敷を広げては効率が悪い、ということがよくわかったのではないでしょうか。
矛盾するように聞こえるかもしれませんが、大事なのは「何を読むか」以上に「いつ読むか」です。
時間には限りがあります。だからこそ、効率の良い読書方法を身に付けて、最大限の成果に繋げたいものですね。
今回のまとめ
- 「今すぐ必要」な本を中心に、直面している課題にピッタリ合う本を読もう。緊急度が低い本を読む場合は、アウトプットの機会など目的を作り出す
- 本にはおおむね共通する構造がある。特に繰り返される主張とハウツーの部分を重点的に読み込もう
- 本を選ぶ時は、それが再現性のあるものかどうかを確認しよう。著者しかできないような武勇伝には注意
「課題性」「緊急性」と言う枠組みを超えた、「自分にぴったり合う」「これこそまさに自分が求めていたものだ」と呼べるような本との出会いも読書の醍醐味だと思います。
大抵、そういったフィーリングが合う本こそ、僕たちにとって生涯の武器になります。次はどんな出会いが待っているでしょうね。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
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