ご覧いただきありがとうございます。マーケティングコンサルタントの大鹿です。
起業には事業計画が重要といわれます。しかし新規創業者にとって、事業計画がそもそもなぜ必要なのかがしっくりこなかったり、小難しく感じてしまったりすることがあるようですね。
事業計画がなぜ必要なのかというと、ズバリこれからやろうとすることを「見える化」するためです。自分自身にとっても、事業に関わる他者にとっても。
今回は補助金の事業計画書作成支援を行っている僕が、事業計画がどうして起業に必要なのか、その理由と目的をお伝えさせていただきます。
今まさに起業の準備を進めている方は、ぜひ参考にしてくださいね。僕が自分の事業計画を作ったときの所感も交えて、解説します。
自分の起業アイデアを具体化するために必要
「事業計画=起業の成功確率を高めるためのもの」というのが一般的な認識です。では、成功確率が高くなるとは具体的にどういうことでしょうか?
それは、これから起業するあなた自身が、自分の事業をくっきりイメージできることです。
飲み会の席などで友達や同僚たちと「こんなことをしたら儲かるんじゃない?」というアイデア論を交わしたことはありませんか? 中には本当に実行すれば儲かる事業もあったかもしれません。
しかし、100人いたら99人は形にしません。文字通りのアイデアで終わってしまいます。
その理由は単純で、具体的な計画に落とし込まないからです。頭の中で生まれたアイデアは、まだまだ隙だらけもいいところ。実際に誰に・どうやって・いくらで商品を販売しようとまで考えたら、言葉に詰まってしまうはずです。
それもそのはずで、誰もが起業時は事業未経験だから。
ですから、計画書という形に書き起こして、誰に・何を・どうやって売るかというコンセプトからあなたが事業をやる目的、収支計画、競合調査などを行って事業の「設計図」を作ります。
サラッと書きましたが初めてでは時間がかかって当然ですし、シンプルにビジネスの知識が足りなかったり、自分の得意な部分と苦手な部分の厚みに差が出たりということはあるでしょう。
僕はメンターから「根拠を作ることが大事」と教わりました。これは後述のように他人を自分のプランに巻き込むためでもあり、そもそも自分自身が納得して事業を進められるか? というところにも関わってきます。
繰り返しますが事業計画づくりは誰もが未経験ですから、不恰好になって当然です。まずはあなた自身が「これなら事業をはじめられる」と納得できるまで考えることが大切です。
リスクまで考えて初めて事業の手触りを感じられるようになる
これはおそらく実際に取り組んでいただければ感じると思いますが、まだ始まっていない事業の“手触り”を感じられるのは、実はどうしたら儲かるか? という収支面の検討以上に、事業リスクを考えたときです。
たとえば、法律が変わって事業ができなくなったら? 突然サーバーが落ちて顧客リストが消失してしまったら? 飲食店なら食中毒が発生して致命的なダメージを負ってしまったら?
こういったことを事前に回避するためにはどうすればいいか、頭の中でシミュレーションをして書き出していく作業をすると、自分が事業をしているビジョンがおぼろげながら浮かんでくるんですね。
リスクというマイナス面の検討ではあるのですが、ある種ワクワクする瞬間でもあります。ぜひ、これから事業計画を作るあなたにもこの感覚を味わっていただきたいものです。
資金の獲得や他人の協力を得るために必要
話の本筋に戻ります。事業計画が大切な理由のもう1つ。それは他人に協力を得るとき、目に見える事業の計画が必要になるからです。
他人とは具体的に、
- 銀行など金融機関
- 出資者
- ビジネスパートナー
- 公的機関(補助金・助成金獲得のため)
おおよそ、これらのいずれかになるでしょう。
自分で事業計画を「見える化する」目的は、自分自身が事業を納得して進められ、その手触りを感じることでした。
一方、金融機関や出資者、公的機関に対して事業計画を「見える化する」目的は、お金を得ることです。
後者はそもそものスタート地点が違います。この人間にお金を貸す(与える)妥当性はあるのか? 本当に儲かるのか? 返済の見込みは立つのか? といったところを主に見ます。もちろん、金銭面だけではありませんけどね。
いずれにしても、自分の起業アイデアを具体化するとき以上に、根拠や「なんとしてもやり遂げたい」という強い想いを、事業計画に反映する必要があります。
ここからは、協力を得たいターゲット別に、事業計画の書き方のポイントを解説していきます。
融資を受けるための、事業計画書の書き方
金融機関から融資を受ける目的の場合、いくら借入をして、利息も含めて月々いくら返済しいつ返し終えられるかという金銭面の計画がカギとなります。
また金融機関に限ったことではありませんが、事業性もしっかり見られます。
どんな商品・サービスを扱って、いくらで販売し月いくつ売れるかといった収支計画はもちろん、人や社会のどんな課題に寄り添えるか? といったところまで考えた方がいいでしょう。
昨今はSDGsなどもあり、社会貢献・地域貢献の視点も重要になっています。こじつけでは意味がありませんが社会性にまで踏み込むと、説得力のある事業計画になると思います。
出資を受けるための、事業計画書の書き方
新規事業会社に対して出資を担うベンチャーキャピタルや、個人投資家などに出資を募るケース。この場合は、なぜベンチャーキャピタルや投資家があなたに出資するのか、その理由を考えれば自ずと事業計画のポイントが見えてきます。
そのポイントとは、あなたに出資をすることで、最終的に自分たちが利益を得られるかどうか? です。
そうした点を踏まえると、「収益性の高さ」および「市場における成長性の高さ」「革新性」といったところが着目点になることは容易に想像できます。
もちろんそれらが「絵に描いた餅」にならない根拠性も重要になります。
協力者を巻き込むための、事業計画書の書き方
協力者(パートナー)を得たい場合は、あなたと一緒に事業をすることで自分にどれだけのリターンがあるか? という観点を大事にしましょう。
それは報酬面でもあり、あなたの事業によって協力者が得られるスキル・経験・人脈といった目に見えないリソースについてもいえます。
前述2点の「いくら儲かるのか」というポイントを生かしながら、あなたに関わることで協力者が得られるメリットを、多面的に語ることが勝負どころになります。
補助金・助成金を獲得するための、事業計画の書き方
補助金・助成金獲得のケースでは、金融機関や出資者に向けて計画を書く場合とおおむねポイントは変わりません。
しかし注意したいのは、補助金・助成金にはそれぞれ個別に「要項」があることです。
要項を踏まえていること=加点ポイントです。まずは要項を正しく理解し、問われていることに沿った計画に仕上げていく必要があります。
分かりやすい例でいうと、新型コロナ禍で中小企業庁より出された「事業再構築補助金」には、事業でコロナリスクを避けるための「非接触性」が加点ポイントになりました。
補助金・助成金獲得が目的の場合、要項が複雑なものは士業の方や地元商工会議所など、専門家との連携を視野に入れた方がいいと思います。
まとめ
今回は、起業時に事業計画を作った方がいい理由と、ターゲット別の書き方のポイントについて解説しました。
ここまでを踏まえて僕の経験からお伝えしたいのは、「事業計画書は一度は自分で作った方がいい」ということです。また当然、作らないより作った方がいいですね。
それは、事業計画を通して、事業の根拠性・妥当性を見る目が養われてよかったと実感しているからです。
また自分で計画を作る経験を持つことで、専門家の協力のもと融資・出資・補助金を募る場合なども、「ここをこう深掘りすればいい」という勘どころが分かり、精度の高い書類にできるからです。
本記事のまとめ
- 事業計画は、起業のアイデアに自分自身納得できるかを確かめるために作る
- また、融資・出資・協力者・補助金などを対象に外部に見せるためにも作る
- 事業計画を自分で作ることで、事業の根拠性・妥当性を見る目が養われる
前述もしましたが、事業計画作りは誰もが未経験の作業で、はじめは不恰好になって当然です。しかし取り組む価値はきっとありますので、ぜひ実践してみてください。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
追伸)
冒頭で書いたように、僕・大鹿はマーケティングコンサルタントとして、補助金を中心に事業計画作成の仕事にも携わっています。「根拠のある事業計画を作りたいけど、どうすれば分からない」というお悩みがあれば、お気軽にご相談くださいね。
お問い合わせはこちら udon@shikashika1969.com
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