ご覧いただきありがとうございます。マーケティングコンサルタントの大鹿です。
無料相談や無料体験、無料コンテンツ・お試し品の提供など、無料サービスを入口に仕事を獲得していくのは起業家にとってメジャーな手法の1つです。
いわゆる「フロントエンド商品」と呼ばれる、本命商品へとユーザーを導くための集客商品・サービスは、多くの起業家が用意していると思います。そして「フリーミアム戦略」といわれるように、特に『無料』が持つ力は強力です。
しかしながら…こんな声も聞こえてきそうです。
「こんなに無料で価値あるサービスを提供しているのに、本命商品につながらない!」
何を隠そう、かつての僕の声です(苦笑)。
本命商品といっさい関係のない、ノベルティーグッズのようなものを渡すのは論外ですが、ちゃんと無料でも本命と遜色ないほどのサービスを提供しているのに、なぜ!?
同じような悩みを抱えている人が多いと感じたので、今回は無料サービスから仕事を獲得するために大事なことを、お伝えさせていただきます。
無料で満腹にさせないこと
くれぐれも「出し惜しみすること」と同義でとらえていただきたくはないのですが、無料でも本命商品と遜色ないクオリティのサービスを提供することは必須です。
しかしほんの少し、「もうひと声欲しい!」というくらいでとどめておくのがフロントエンド商品のポイントです。
分かりやすい例が無料の電子コミックです。1巻だけ無料だからといってその1巻が「つまらない」「内容が薄い」などということはないですよね? むしろ最初の1巻が圧倒的に面白いからこそ、続きが読みたくなるわけです。
経験、ありませんか? 続きの巻を買ってしまったら、見事サービス提供者の術中にハマっているということですね(笑)。
このように、絶妙に「満腹にさせない」勘どころがフロントエンド商品にはあります。でも、まだこれだけでは抽象的で難しい! というのも理解できます。
もっと詳しく、フロントエンド商品の考え方を見ていきましょう。
お客様はウソをついている
ハンバーガーやラーメンのように分かりやすい食べ物の場合は別ですが、提供するサービスによっては「お客様がウソをついている」場合があります。
ウソ? どういうこと?
もっともな反応ですね。たとえば、あなたがサロンオーナーで、女性のお客様に「キレイなお肌を手に入れたい」というニーズがあったとします。(男性の読者さんでしたらすみません)
あなたは開業をしたばかり。躍起になってお客様を獲得しようと、30分無料体験でお肌のケアをします。見事、体験のお客様は「ぷるん」と潤いのある肌を手に入れて満足されました。
ここまでは、何も間違ったことはしていません。正しいくらい正しいです。仮に、80%のお肌の出来だったとしたら、なおさらお客様は二度と来店しないでしょう。
しかし、希望通り「キレイなお肌を手に入れた」からといって、次にそのお客様が有料でサービスを利用してくれるか? というと分かりません。
してくれるかもしれない。けれど、同じ市内にもっと安かったり、もっと短い時間で効果を得られたり、もっと腕のいい人がいたら、そちらに流れてしまうかもしれません。
そして、その日は帰宅して他店と比較した結果、やっぱり競合に流れてしまう。あるいは、「また機会があったら行こう」というふうに利用の優先順位が落ちてしまう。
これがいわゆる
「こんなに無料で価値あるサービスを提供しているのに、本命商品につながらない!」
代表的なケースです。
至極真っ当なことなんです。望み通り「キレイなお肌を手に入れた」のなら、それでお客様のニーズは満たされたのだから。
でも…実は、本来は違います。キレイなお肌は維持し続けなければまた衰えていくでしょうし、そもそも何のために、キレイなお肌が欲しかったのでしょうか?
旦那さんに「キレイだね」と言って欲しかったから? 若いママ友たちの姿を見て焦りを感じていたから?
この例でいえば、なぜキレイになりたいのか? という目的があったはずなんです。目的=お客様の本当の感情です。それに触れずに表面的なニーズだけを満たしてしまうと、一度サービスを提供しただけで関係が途切れてしまうわけです。
ウソ、というと若干語弊があったかもしれませんが、表面的に見えるニーズだけが答えではないということです。
「聞いて欲しい」「知って欲しい」「理解して欲しい」
僕自身、「無料相談」というフロントエンド商品を持って仕事をしているわけですが、失敗も成功も含め、とにかく数をこなして分かったことがあります。
それは、お客様は「聞いて欲しいし」「知って欲しいし」「理解して欲しい」ということです。
以前は僕も「こういう情報がお客様のためになるだろう」と考え、役立つ情報をどんどんシェアしていました。
しかし、そうすると前述したようにお客様の表面的なニーズは解決されるものの、その後の仕事につながらない。また、その場では感謝されるものの、伝えすぎて相手の頭の中が渋滞しているのが感じ取れました。
自分の身に置き換えてみるとよく分かるのですが、今使えない情報を伝えすぎても人は「活用」できないものです。(くれぐれも誤解していただきたくないのですが、出し惜しみをするわけではありません)
無料相談を繰り返すうちに、分かってきました。人は「役立つ情報を知りたい」のではなく、自分の悩みを「聞いて欲しい」「知って欲しい」「理解して欲しい」ということを。
自分の中のモヤモヤを整理したい、という感情も持っています。
コンサルタント業の鉄則で「聞く9割:話す1割」という黄金律があります。まずサービス提供者自身がお客様の悩みに傾聴し、深く理解を示さないことには本当の課題が分かりません。
お互いの信用も深まらず、その場限りの関係になってしまうのです。
それを理解し、まず「聞く」「知る」「理解する」ことに徹するようになると、本命商品の成約が大きく変わっていきました。
大事なことなので何度もお伝えしますが、お客様はウソをついています。その前提に立ち、無料サービスの提供中に「本当の悩み」を聞き取ることを意識すると、必ず成果が変わってきます。
僕のようなコンサルタント業やサロン業など直接話を聞ける業種ではなくても、オプションで相談を設ける、アンケートを設置するなどさまざまな方法を導入できると思います。
特にまだお客様の数も少なく、社会的な信用が少ないときほど、手間を惜しまず「聞き取り」をしてみてください。
満腹にするより課題の発見がキモ
ここまでお伝えしてきたように、無料サービスから仕事を獲得していくにはその場で満足させるよりも、「聞く」「知る」「理解する」つまり課題の発見が重要になってきます。
課題の発見には、以下のような問いかけが効果的なのでぜひ活用してみてください。「マジッククエスチョン」と呼ばれるものです。
マジッククエスチョン
- たとえば?
- 具体的には?
- なぜ?
- どのように?
- 他には?
特に「なぜ?」という質問はお客様が持つ「悩みの先にある目的」を掘り下げるのに有効です。また、「他には?」という質問を繰り返すことで本心が現れてくるので、質問の最後に必ず「他には?」「これで全部ですか?」などと聞くといいです。
そして、私(あなた)にはその問題を解決する術があるよ、とお伝えするのです。そうすれば、無料サービスの成果を満腹の一歩手前で留めたまま、次につなげることができます。
実感として、たとえすぐお客様にはなってくれなかったとしても、「自分のことを分かってくれた!」という感情を抱いた人との関係は長く続きます。
見込み客を抱えた状態を作ることもビジネスの大きな目的です。課題の発見はそれも可能にしてくれます。ぜひ、やってみてくださいね。
まとめ
今回は、「フロントエンド商品」提供の一環であり「フリーミアム戦略」と呼ばれる、無料サービスから仕事を獲得する方法についてお伝えしてきました。
どうも本命商品の成約率を高めるためにノウハウやテクニックを重視しようとする人もいますが、決してそんなことはありません。
大事なのは、お客様に耳を傾けて「聞く」「知る」「理解する」ことです。これを外しては、せっかくのノウハウやテクニックも宝の持ち腐れになってしまいます。
本記事のまとめ
- くれぐれも出し惜しみすることとは違うが、無料サービスでは満腹にさせないことが重要
- お客様はウソをついている。つまり本心を自分でも分からず隠してしまっている
- 課題の発見に徹して、お客様の「悩みの先にある目的」をあぶり出す
こうすれば、無料サービスからの仕事の獲得率が向上していくと思います。マジッククエスチョンなどを上手に活用し、顧客理解に努めてください!
今回も最後までお読みいただき、ありがとうございました。
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